紹介したい物件がまだ空いているか、元付けの会社に電話で確認する。この物件確認、いわゆるぶっかくの電話に、毎日追われている方は多いはずです。この記事は2種類の読者を想定しています。ひとつは、1日に何十件も物確の電話を受けて業務が止まってしまう元付け・管理会社の方。もうひとつは、物件確認のかけ方やマナーをこれから覚えたい客付けの新人の方です。前半でかける側の基本を押さえ、後半で受ける側の負担をどう減らすかを扱います。物確の自動応答サービスの特徴も紹介しますが、それが対症療法にとどまる理由と、電話そのものを減らす根本の考え方まで踏み込みます。
物件確認(物確)はなぜ無くならないのか
物件確認がいつまでも無くならないのは、空室状況が不動産会社のあいだでリアルタイムに共有されていないからです。物確とは、客付けの仲介会社が、紹介しようとしている物件がまだ空いているか、そして紹介してよいかを、元付けの会社や管理会社に確認する業務を指します。読み方は「ぶっかく」で、電話・メール・FAXのいずれかで行うのが一般的です。
そもそもなぜ確認が要るのかというと、物件が空いているかどうかの最新情報が、業者間で自動的に同期される仕組みになっていないためです。ポータルサイトや業者間流通の情報は、実際の空室状況より更新が遅れることがあります。昨日まで募集中だった部屋が今朝には申し込みで埋まっている、といったことは珍しくありません。この時間差を埋めるために、客付けは念のため電話で最新の状況を直接聞きにいくわけです。
もう少し踏み込むと、物確が生まれる背景には役割の分担もあります。物件を預かって募集をかける元付けと、お客様を連れてくる客付けが分かれているため、空室の最新状況は元付け側にしか正確には分かりません。客付けは自社では確かめようがないので、元付けに問い合わせるしかない、という構図です。この分担がある限り、確認という行為そのものは無くなりにくいのが実情です。
つまり物確は、情報が古いかもしれないという前提と、状況を握っている会社が別だという前提の、二つがあるから発生します。ここを押さえておくと、後半で扱う「電話を減らす」話が、単なる効率化ではなく情報の鮮度と共有の問題だと見えてきます。
かける側の基本:新人が押さえるべき手順とマナー
物件確認の電話は、聞くことを先にまとめてから一度でかけきるのが基本です。確認漏れがあると同じ相手にかけ直すことになり、自分の時間も相手の時間も余計に奪ってしまいます。新人のうちは、次の3つを意識すると失敗が減ります。
1. 確認する項目を先に決めておく
最低限、その物件が今も募集中か、そして客付けとして紹介してよいかを確認します。あわせて、賃料や初期費用に変更がないか、内見の方法や鍵の受け渡し、入居可能な時期なども必要に応じて聞きます。物件名と部屋番号、どこの会社のどの物件を聞きたいのかを手元にそろえてから受話器を取ると、会話がスムーズです。
2. かける時間帯に配慮する
相手も同じ不動産会社です。昼休みにあたる12時から13時、始業直後や終業間際は、電話が集中したり手が離せなかったりしがちなので避けるのが無難です。比較的つながりやすいのは午前10時前後や午後の早い時間帯とされます。相手の営業が立て込む時間を外すだけで、対応の質も変わってきます。
3. メールでの物確も選択肢に入れる
急ぎでなければ、メールでの物確も広がっています。相手の営業時間や電話中かどうかを気にせず送れて、受け手も手が空いたときに返信できます。電話のように即答は得られませんが、記録が残るので言った言わないが起きにくい利点もあります。複数の物件をまとめて確認したいときも、電話で一件ずつ聞くより、メールに箇条書きで並べたほうが漏れが出にくくなります。急ぎで今すぐ紹介したい一件は電話、まとめて確認したいものはメール、というように使い分けると、自分も相手も負担が軽くなります。相手が受け取りやすい手段に合わせる姿勢は、日々やり取りする間柄では信頼にもつながります。
受ける側の負担:同じ質問が営業を止める
受ける側にとって物確の電話がつらいのは、件数の多さと内容の単調さが、集中を要する本来の業務を細切れに中断させるからです。人気の物件を多く抱える元付けや管理会社では、1日に数十件の物確が入ることも珍しくありません。
問題は件数だけではありません。かかってくる電話の多くが、空いていますか、紹介していいですか、という同じ質問の繰り返しです。一件あたりの対応は短くても、接客中や書類作成中に何度も鳴れば、そのたびに手を止めて頭を切り替えることになります。この中断のコストは、実際に電話に出ている時間より大きいものです。集中していた作業に戻るまでの立ち上げ直しが、積み重なると相当な時間の損失になります。
さらに、担当者しか空室状況を把握していないと、その人が不在のときに電話が滞留します。誰が受けても答えられない状態は、負担が特定の人に偏る原因にもなります。折り返しが増えれば、かけた客付け側も待たされ、機会損失につながりかねません。加えて、繁忙期には物確の電話が本来対応すべき入居希望のお客様からの電話とぶつかり、どちらも取りこぼしやすくなります。受ける側の負担は、単に「電話が多い」ではなく、「同じ問い合わせが、答えられる人の集中を奪い続ける」という構造の問題です。この構造を理解すると、次に紹介する自動応答が何を肩代わりしてくれるのかも整理しやすくなります。
