一つの部署で工数削減に成功したシステムを、他部署へ展開したところ使われないことがあります。「成功事例なのだから同じように使えばよい」と説明しても、独自Excelや従来手順が残ります。
横展開で移すべきなのは完成した画面だけではありません。なぜその仕組みが成立したかという判断基準と前提条件です。
成功には見えない前提がある
- 協力的な管理者がいた
- 元データの品質が高かった
- 顧客ごとの例外が少なかった
- 担当者に改善時間があった
- 旧運用を廃止できる権限があった
- 繁忙期を避けて導入した
これらを除いて機能だけ移すと、別部署では負担が増える場合があります。
「自分たちが作っていない」が拒否につながる
KatzとAllenは50の研究開発プロジェクトを調べ、長く続く集団で外部とのコミュニケーションが減り、性能が低下する傾向を報告しました。Not Invented Here症候群を扱った代表的研究です。Investigating the Not Invented Here Syndrome
この研究は業務システムの横展開を直接検証したものではありませんが、長く独自の方法を築いた部署が、外部や他部署の方法を受け入れにくくなる視点を与えます。
拒否を「頑固」と扱わず、既存方法が守っている価値を確認します。
成功事例を4層に分解する
目的
何を改善したかったか。転記削減、締め短縮、根拠確認などです。
共通原則
正本、ID、状態、承認、履歴など、部署が変わっても必要なルールです。
現地設定
担当者、期限、通知、表示、顧客別条件など、部署ごとに変える内容です。
成立条件
必要なデータ、権限、時間、協力者、旧運用の扱いです。
横展開先では、同じ目的を別の方法で達成しても構いません。



