要件会議では合意していたのに、ベテラン担当者が「この業務では使えない」と言った途端、仕様が大きく変わることがあります。役職上の決裁者ではなくても、周囲が反対できない状態です。
これは声が大きいという個人特性だけではありません。組織がその人の知識、顧客関係、問題解決力へ依存しているために生まれる影響力です。
権力は役職だけから生まれない
Emersonは、ある人が目標達成のために別の人へ依存し、代替手段が少ないほど、両者の関係に権力が生まれると整理しました。Power-Dependence Relations
業務では、次を一人だけが持つと影響力が強くなります。
- 重要顧客との関係
- 例外処理の知識
- トラブル時の復旧方法
- 経営者との信頼関係
- 過去データの所在
- 取引先や外注先への連絡経路
この人を外して仕様を決めると重要な例外を見落とします。一方、すべての意見を仕様へ入れると複雑化します。
専門性・意見・決定権を分ける
専門性
事実、過去事例、顧客条件、失敗時の影響を提供します。
意見
望ましい対応や優先順位を提案します。
決定権
全体の費用、他部署への影響、将来の保守を含めて選びます。
専門家であることと、全社仕様の最終決定者であることは同じではありません。
「使えない」を実案件へ分解する
- どの案件で使えないのか
- 直近一年で何件あったか
- 対応できないと何が起きるか
- 現在はどう処理しているか
- 全員向けの機能が必要か
- 例外時だけ手動対応できるか
抽象的な反対を、頻度と影響へ変えます。


