家賃管理や物件管理をエクセルで回していて、作り方がこれで合っているのか、そろそろシステムに変えるべきなのか迷っていませんか。この記事は、管理戸数がまだ多くない大家さんや小規模の管理会社の方に向けて、家賃管理表・物件管理表・入居者管理をエクセルで作る具体的な方法を解説します。必要な列の決め方、物件情報と契約情報の分け方、無料テンプレートを使うときの注意、そして崩れない運用ルールまで順に整理します。結論から言うと、戸数が少ないうちのエクセル管理は正しい選択です。大事なのは、後で破綻しない作り方を最初に押さえておくことです。なお顧客・追客の管理は別の設計になるため、そこは不動産の顧客管理エクセルの限界で扱います。
家賃管理表をエクセルで作る
まず家賃管理表は、毎月の入金を1枚で追える形にすることが目的です。凝ったレイアウトより、未入金の人がすぐ分かる素朴な表のほうが実務では長続きします。家賃管理をエクセルで作るとき、最低限そろえたい列は次の6つです。
物件名・部屋番号
どの物件のどの部屋か、を特定する列です。物件名と部屋番号は別の列に分けておくと、後で物件ごとに絞り込んだり、部屋順に並べ替えたりが効きます。ここを1つのセルにまとめてしまうと、集計のたびに手作業が増えます。
契約者名
その部屋の入居者、つまり家賃を払う人の名前です。契約者と物件が1行でひも付いていれば、誰の入金がまだかが一目で分かります。
賃料・共益費
毎月受け取る金額です。賃料と共益費、必要なら駐車場代を列で分けておくと、合計額のずれに気づきやすくなります。金額はセルに数式で合計を出しておくと、手計算の間違いが減ります。
入金予定日と入金状況
いつ入る予定で、実際に入ったかを記録する列です。月ごとに「入金済/未入金」を選べるようにしておくと、月末に未入金だけを絞り込めます。ここが家賃管理表の心臓部です。
滞納状況・督促の記録
未入金がそのまま残ったときのために、滞納状況と督促の記録を持たせておくと安心です。何月分が未納か、いつ督促の連絡をしたか、を残しておくと、対応の抜けや二度手間を防げます。滞納が長引いたときも、これまでの経緯がその行から追えるので、貸主や保証会社とのやり取りがしやすくなります。督促は感情的になりやすい場面なので、事実の記録が1か所にある状態は現場を助けます。
この表を毎月どう回すかというと、入金を確認したらその月の入金状況を「済」に変えていく、いわゆる消し込みの作業になります。月初に全員を「未入金」にしておき、通帳やネットバンキングと突き合わせて済に変えていけば、月末に残った未入金がそのまま督促リストになります。エクセルの色分けやフィルタで未入金だけを表示できるようにしておくと、この確認が数分で終わります。毎月シートを新しく増やすやり方もありますが、月の列を横に足していく形のほうが、後で滞納の傾向を見返すときに楽です。
物件管理表・入居者管理エクセルの項目設計
物件管理表と入居者管理をエクセルで作るときの肝は、変わらない情報と変わる情報を分けることです。ここを混ぜると、更新のたびに表が壊れていきます。おすすめは、物件そのものの台帳(物件マスタ)と、誰がいつからいつまで借りているかの契約情報を、別の表として持つ考え方です。
物件マスタに載せるのは、めったに変わらない情報です。物件名、住所、部屋番号、間取り、面積、オーナー名などが当たります。一度登録すれば、入居者が入れ替わっても中身はほとんど変わりません。物件管理表はこの安定した情報の置き場だと考えると、設計がぶれません。
一方、入居者管理エクセルや契約情報の側に載せるのは、人が入れ替わるたびに変わる情報です。契約者名、契約日、契約期間、更新月、家賃、敷金・礼金、連絡先などが当たります。同じ部屋でも入居者が変われば、この情報は丸ごと入れ替わります。
この2つを分けておく利点は、更新の手間とミスが減ることです。たとえば入居者が退去して次の人が入るとき、物件マスタはそのままで、契約情報だけを差し替えれば済みます。もし物件情報と入居者情報を1つの表に混ぜていると、退去のたびに住所や間取りまで打ち直す羽目になり、そこから写し間違いが生まれます。部屋番号のような共通の列を両方に持たせておけば、必要なときに突き合わせられます。規模が小さいうちは、1つのファイルの中でシートを「物件マスタ」「契約情報」と分ける程度で十分です。
入居者管理の視点では、契約情報の側に更新月を持たせておくのが効きます。更新月でフィルタをかければ、来月更新を迎える契約だけを一覧にでき、更新案内の準備が前もって進められます。更新の時期を担当者の記憶やカレンダーのメモに頼っていると、担当が変わった瞬間に抜けが出ます。物件管理表と入居者管理を分けたうえで、更新月のような「先を見る列」を1つ足しておくと、エクセルでも先回りの管理ができます。
無料テンプレートの探し方と使うときの注意
家賃管理表のエクセル無料テンプレートは、ゼロから作るより早く始められる良い出発点です。探すときは、賃貸管理ソフトの会社や不動産系のサイトが配布しているものが、実務に近い項目でまとまっていて使いやすい傾向があります。表計算ソフトのテンプレート集にも、家賃台帳や物件管理表の形式が用意されています。まずいくつか落として、自社の管理に近いものを選ぶとよいです。
ただし、テンプレートをそのまま使うときは、いくつか気をつけたい点があります。
自社の運用に合わせて列を直す前提で選ぶ
配布されているテンプレートは、多くの人に合うよう一般的な項目で作られています。そのため、自社にしかない項目が足りなかったり、逆に使わない列が並んでいたりします。そのまま埋めようとせず、要らない列は消し、足りない列は足す前提で選んでください。テンプレートは完成品ではなく、たたき台だと考えるのが実用的です。
中身の分かる範囲のものを使う
関数やマクロが凝ったテンプレートは便利に見えますが、どこがどう計算されているか分からないまま使うと、少し直したいときに表を壊してしまいます。自分で意味を追える範囲の作りのものを選ぶほうが、後々安全です。集計欄に数式が入っている場合は、その数式が参照している範囲を把握してから列を増減させましょう。
配布元と更新のしやすさを確かめる
ダウンロードしたきりで更新されないテンプレートだと、途中で使いにくさに気づいても直せません。自社で列を編集できる形式か、配布元がどういう会社かを軽く確認しておくと、安心して使い続けられます。
